妊娠をしたら定期的に検診を受けることになりますよね。
そこで,毎回のように体重を測定されます。
胎児の成長とともに増えゆく体重…
体重が増えること自体は当たり前のことなのですが,どうしても出産後に元の体重に戻るのか不安になってしまうものです。
前回の検診よりも増え幅があまりに大きいものならば「少し体重が増えすぎですね。食事に気を付けてください」と医師に注意される場合も…
ここでいう「食事を気を付ける」とはどういうことなのでしょうか?
多くの人は”食事に気を付ける=カロリーをコントロールすること”だと考えています。
実際,世の中で”ヘルシー”な食事と言われるものは低カロリーなものを指す場合が多いです。
しかし,カロリーだけをコントロールしても健康になるわけではありません。
特に自分の食事を通じて胎児に栄養を供給している妊婦こそ,カロリーのコントロールだけにとらわれるべきではないのです。
今回はその理由についてみていきます。
カロリーはどうやって算出しているか?
食物のカロリー(熱量)は以下の式によって算出されます。
熱量 =
【空気中で食物を燃やして発生した熱量】ー【同じ食物を食べて出た排泄物を燃やして発生した熱量】
この差が体内で吸収された熱量の差であり,カロリーと呼ばれるものです。
しかし,人間の体の体温は37℃程度であり,実際に食物を体の中で燃やしているわけではありません。
私たちは便宜上,「脂肪燃焼効果」などという言葉を使いますが,実際に燃焼しているわけではないのです。
カロリーとは所詮,食物自体の保有エネルギーの概算値でしかなく,人間の体内でそのまま応用できる話ではないのです。
本当に体重を減らしたい時に意識するもの
ということは,もし本当に体重を増やしたくない,ダイエットしたいと考えた時に意識するべきものはカロリーではなく,
”その食物自体が太る原因になるものかどうか”
という視点です。
では,太りやすいものは何かといえば糖質です。
なぜ,糖質を摂りすぎると太るのか?
タンパク質,脂質,炭水化物(糖質)の中で血糖値を上昇させるのは糖質のみです。
人間の血糖値は活動するために一定に保たれており,これが下がると危険です。
しかし,増えることもまた危険であり,糖質を多く含む食事を摂った直後は血糖値が急上昇します。
その血糖値を正常に戻すために体内では血液中で増えすぎた糖(ブドウ糖)を中性脂肪に変換して脂肪細胞として蓄える動きをします。
こうすることで血糖値を下げているのですね。
そして,これは糖質を摂取した時にしか起こりません。
脂質はカロリーだけを見れば糖質よりも高い栄養素なので,カロリーを高いものを食べれば太るとイメージされがちだが脂質を積極的に摂取しても血糖値の急上昇→中性脂肪に変換→脂肪細胞になるという動きは起こりません。
妊婦がカロリーを制限してはいけない理由
カロリーだけに着目すると,脂質が一番カロリーが高いため,真っ先に削られがちです。
しかし,脂質は脳をはじめ,体の形成になくてはならない栄養素です。
特に胎児は脂質から得られるケトン体というエネルギー源をメインにしているため,妊婦こそ脂質を積極的に摂取する必要があると言えます。
そうはいっても今までの経験からなかなか脂質を積極的に摂取することには抵抗があるかもしれません。
その際に思い出していただきたいのですが,人間の元々の主食は動物性のものやクルミなどのナッツ類であったことです。
これらには脂質が豊富に含まれております。
また,赤ちゃんが生まれた後に飲む母乳を脂質を豊富に含んでいます。
これこそが赤ちゃんの成長に脂質が必要であることを示しているのかもしれません。
だからこそ,お腹の中にいるときから母子ともにそのような食事を心がけることを大切にしましょう。
あと,タンパク質もですね。
参考になれば幸いです!