栄養士×保健体育教師 かーよーのブログ

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産業革命のイギリスの事例からから現代の疲労と向き合おう!

みなさんは紅茶に砂糖を入れますか?

 

紅茶も日本茶も同じ茶の葉からつくられるのに,麦茶や緑茶に砂糖を入れる人は少なくても紅茶に入れることは違和感なく受け入れられています。

 

特に日本人からしたら,お茶に砂糖を入れるという発想にはなかなかならないでしょう。

 

紅茶に砂糖を入れる文化は産業革命期にイギリスで広まったと言われていますが,その背景には砂糖の性質を利用した結構黒い意図が隠されていたようです。

 

そして,現代人である我々も仕事で疲れた時,甘いものを食べたりします。

 

小腹が空いたときのためにオフィスにチョコレートや甘い飲料を持って行っている人も少なくないですよね。

 

その行動は本当に披露を回復させているのでしょうか?

 

当時のイギリスの働き方

当時のイギリスは,それまでの家族単位で行う小規模な手工業から都市の大規模な工場での重工業にシフトしていきました。

 

それに伴い,地方から都市に多くの労働者が移動するのですが,男性に限らず女性も子どもも工場で働いていました。

 

子どもといっても中高生の年代からではなく,5歳の子どもも働いていたとのこと!

 

そしてその労働時間も朝6時から夜7時過ぎまで働く長時間労働が当たり前となってました。もちろん休憩時間も短いです。

 

疲れた時に重宝されたもの

そんな働き方をしていて疲労困憊にならないのか?

 

当然疲れ切るに決まっています。

 

疲れたまま働くと生産性は当然落ちます。

 

そこで工場主たちが労働者に提供したのが砂糖がたっぷり入った紅茶です。

 

出がらしの紅茶でも砂糖をタップりさえすれば味がしっかりとするので安価で好まれたようです。

 

そして,労働者たちは短い時間にこの紅茶を飲むと,また気合を入れて働き出してくれるので工場主にとっても労働者たちにとってもまさに魔法の飲み物だったことでしょう。

 

これをきっかけにイギリスでは甘いビスケット,ジャム,砂糖入りコーヒー,砂糖入りプディングなど砂糖がたっぷり入った食べ物が庶民にも定着していった。

 

なぜ,砂糖を摂取すると疲労がとれた感覚になるのか?

砂糖から得られるエネルギー源,ブドウ糖の最大の消費地はどこでしょうか?

 

答えは脳です。脳が働くためにはケトン体やブドウ糖などの水溶性のエネルギー源が大量に必要になります。

 

実際にはありませんが,もしもブドウ糖を脳が使い尽くして低血糖になると脳はガス欠を起こして停止してしまいます。

 

仕事をしていると,それが頭脳労働でも肉体労働でもエネルギーを多く消費していることには変わりありません。

 

そんな時に砂糖が入った甘いもの(=ブドウ糖が入ったエネルギー源)を摂取し,血糖値が上昇すると再び一時的に脳の働きが活性化します。

 

すると,なんだか元気が出てきて疲労が回復した気持ちになります。

 

我々の多くは,このために仕事の合間に甘いものを欲するのかもしれません。

 

甘いものは疲労を回復させるか?

では,砂糖の入った甘いものは本当に疲労を回復させているのでしょうか?

 

残念ながらそんなことありません。

 

肉体労働で損傷した体を回復させるためには,その材料となるタンパク質を摂取しないことには話になりません。

 

筋トレした後にプロテインの代わりに砂糖入りの紅茶しか飲まない人が存在しないのと同じ話です。

 

頭脳労働だって,ただ脳のエネルギーが不足するだけでなく,眼精疲労や首や肩の凝り,腰の痛みといった様々な疲労がたまってきます。

 

それは血流の悪さなどから来るものであり,睡眠やストレッチ,マッサージなどで回復するものです。

 

甘いものを食べて疲労が一時的にとれた気になるのは,脳がそう勘違いしているだけに過ぎないのです。

 

「長時間働いて疲れて,甘いものを食べて一時的に元気になった気になって,また長時間働く」

 

昔はそれが当たり前でしたが,今もそのような働き方をしている人は少なくないようです。

 

仕事の合間につまめるような美味しいお菓子もたくさん出回っています。

 

しかし,それは一時的に疲労回復した気になっただけで本当の疲労回復ではありません。

 

私たちが疲労回復をするために本当に考えるべきものは,甘いものを摂取することではなく,ゆっくり休んだりマッサージを受けにいったりする余暇や睡眠の時間を確保すること,そしてタンパク質などの質の高い栄養を摂取すること,これに尽きるのではないでしょうか?