こんにちは!
健康維持やダイエットの上で何かと目の敵にされがちな栄養素
それは”脂質”です。
一般的に太る原因とみなされて避けられています。
しかし,以前このような記事を書きました。
脂質も大事な栄養素であり,本当に肥満の原因になっているのは糖質の方だという内容でした。
今回はエネルギー代謝の観点から脂質について見ていこうと思います。
人のエネルギーは何から作られるか?
人のエネルギーはATP(アデノシン三リン酸)と呼ばれるものです。
ガソリンを入れないと自動車が走らないように人もATPが無いと生きていけません。
ATPは呼吸や心臓を動かしたり,食べ物を消化したりすることにも使われます。
当たり前の話ですが,ATPが充分にあると,人は元気に過ごせるということです。
しかし,「朝からだるい」,「やる気が起こらない」,「疲れやすい」,という症状を訴える人が現代人には多いようです。
それは,メンタルの問題やストレスなど,多様な要因がありそうですが,根本的にはこのATP不足,すなわち体の中でエネルギーを生み出せていないことが原因かもしれません。
そんなATPは糖(グルコース)と脂質(脂肪酸)から作られます。
ATPの生産経路
ATPの生産経路は,以下の3つです。
・解糖系
・クエン酸回路
・電子伝達系
それぞれについて簡単に見ていきます。
解糖系
糖(グルコース)からATPを得る経路です。
グルコース1個をピルビン酸に分解する過程でATPは4個できます。
しかし,このうち2個は代謝過程で消費されるため,最終的には2個のATPが作られます。
しかもその代謝過程で10回も化学反応が必要であり,その反応のためにビタミンやミネラルを大量に消費してしまう公立の悪い経路です。
クエン酸回路+電子伝達系
クエン酸回路も電子伝達系もミトコンドリア内で行われる代謝なので,一つにまとめてみていきます。
そもそもグルコースをピルビン酸に分解したのは,ピルビン酸の形にしないと,ミトコンドリアの内側に入っていけないからです。
そのピルビン酸からアセチルCoAが作られ,クエン酸回路ではATPは2個,続く電子伝達系からは36個のATPが作られます。
一方,脂肪酸の場合,直接ミトコンドリア内でアセチルCoAに変わり,クエン酸回路+電子伝達系の代謝に入ります。
そして最終的に129個のATPが作られます。
脂肪酸はとても効率のよいエネルギー源といえます。
ATPの生産経路が意味すること
糖に比べて脂質はたくさんのATPが作られます。
それだけ高エネルギーなので,一般的に高カロリーと結びつけられて,脂質は「太る原因」と見られがちです。
しかし,人間の体を動かす=生きていく 上で糖によるエネルギー生産だけでは圧倒的に足りないのが現実です。
しかも人間のエネルギー生産の過程はとても複雑です。500kcal摂取したから,500kcal分のエネルギーが得られ,その分動けるという単純なものではないのです。
そして,糖の代謝では大量のビタミンやミネラルを消費してしまいます。
糖質中心の食事をしていると,エネルギー不足かつビタミンとミネラルの大量消費で,その他の健康維持のための代謝が滞ってしまうことを意味します。
先に述べた通り,「朝からだるい」,「やる気が起こらない」,「疲れやすい」といった症状はこれに起因している可能性が考えられます。
だからこそ,脂肪酸代謝中心で効率よくATPを作り出し,その他の必要な代謝にビタミンやミネラルを使えるようにする,という考え方が求められています。
ちなみにビタミンやミネラルが必要な理由はそれが体内の数多くの代謝をスムーズに進行させる上で大切なものだからです。これらが不足すると,代謝がうまく進行せず,健康維持に影響を及ぼしてしまいます。
ビタミンについては以下の記事を参考にしてください。
参考になれば幸いです!